日本人なら誰もが知っているアンパンマーチ。
実は歌詞が深すぎると話題になりました。
今回は特に深く重い歌詞に焦点を当てて
解説していきたいと思います。

【アンパンマンマーチ】歌詞が深過ぎる!
実は戦争中の歌だった
アンパンマンマーチを作詞したのは、
アンパンマンの原作者であるやなせたかしさんです。
やなせさんは日中戦争に出征しています。
また、弟・柳瀬千尋さんは特攻隊員であり、
太平洋戦争で命を落としています。
アンパンマンマーチはそのような戦争中の体験が
反映された曲だと言われています。
特攻とは爆弾を積んだ戦闘機で敵の船に体当たりする攻撃のことです。
この特攻作戦に従事する部隊の構成員を特攻隊員といいます。
生きて帰ることができない戦い方で、多くの若者が命を落としました。
やなせさんは「弟は幼少時代コンパスで描いたような丸顔だった」
と仰っています。
アンパンマンはそんな弟を思い浮かべながら描いたと言われています。
お腹がすいている人に自分の顔を食べさせるアンパンマン。
その自己犠牲的な生き方は、
日本のために自らの命を犠牲にした
弟さんがモデルになっていたのかもしれません。
歌詞の「君」は弟さん?

出典:Amazon
そしてアンパンマンマーチの歌詞にも
戦争や戦死した弟への想いが
込められていると言われています。
今を生きる ことで
熱い こころ 燃える
だから 君は いくんだ
ほほえんで
この歌詞の「君」は弟さんということですね。
「熱い こころ 燃える」という歌詞は、
特攻隊員に志願し、
自分の命を犠牲にしても日本のために戦うんだという
正義感に燃えていた弟さんを表現しているのだと思います。
だから、
「だから 君は いくんだ ほほえんで」という歌詞に
繋がるのでしょう。
ア、ア、アンパンマン優しい君は
いけ
みんなの夢守るため
「優しい君」は弟さんですね。
「みんなを守るため」ではなく、
「みんなの夢守るため」という歌詞には、
深い意味があるでしょう。
弟さんは特攻隊として、
日本を敵国から守ったのではなく、
日本国民が望んでいた夢=戦争のない平和な日常を、
(終戦により)取り戻してくれた
という意味なのではないでしょうか。
弟に捧げた歌ではない?
アンパンマンマーチは戦争中の歌であり、
特攻隊員の弟に捧げたと考えると、
とても深い歌詞に思えます。
しかしこれはデマという説もあります。
やなせたかし著「ぼくは戦争は大きらい」(小学館、2013年)の中で、
やなせさんは、
ぼくはそんなつもりはなかったのですが、
「アンパンマンのマーチ」が弟に捧げられたものと
指摘する人もいます。
このように、アンパンマンマーチは弟に捧げたものではないと
きっぱり仰っています。
無意識に戦争体験が反映された?

やなせさんご本人が否定されていますが、
やはりアンパンマンマーチの歌詞は、
特攻隊員だった弟さんへの想いと
重なる部分が多く見られます。
そこで有力なのは、
無意識のうちに、
戦争体験や弟への想いを描いたのではないか
という説です。
ご自身の戦争体験や弟さんの戦死は、
やなせさんに大きな影響を与えており、
それが無意識のうちに
歌詞に反映されたのかもしれませんね。
胸の傷とは人生の辛い体験

そうだ 嬉しいんだ
生きるよろこび
たとえ胸の傷が痛んでも
この3行は倒置法が使われており、
胸の傷が痛んでも、
生きるよろこびは嬉しいんだ
という文章になります。
「胸の傷」とは人生の辛い体験のことでしょう。
やなせさんは、
これはアンパンマンのテーマソングであり、
ぼくの人生のテーマソングである
と著書で述べています。
やなせさんは戦後に飢えに苦しんだ経験をされています。
地獄のような辛い体験をしていて、
それがトラウマとして残っていても、
生きることは素晴らしい、
そうだ、そうなんだ
と悟っているのではないでしょうか。
ヒーローにも胸の傷はある?

「たとえ胸の傷が痛んでも」の後には、
ア、ア、アンパンマン優しい君は
いけ
みんなの夢守るため
という歌詞が続きます。
アンパンマン(ヒーロー)の胸の傷と解釈すると、
無敵のように見えるヒーローでも、
実は心に傷を抱えているとも解釈できます。
そして、
胸の傷があるからこそ、
人の痛みがわかり優しい心を持てる、
それがヒーローの本当の強さなんだ
という意味にも解釈できるでしょう。
君の幸せの意味や解釈は?

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なにが君の幸せ
なにをして喜ぶ
わからないまま終わる
そんなのは嫌だ
この歌詞の「君の幸せ」は、
何を意味しているのでしょうか。
この曲の歌詞は戦争で特攻隊員として戦死した
弟・柳瀬千尋さんへの想いが込められていると言われています。
「君」は弟さんを意味しています。
「君の幸せ」とは弟さんの幸せという意味でしょう。
弟の幸せは何だったのか
弟の幸せとは何だったのか、
何をして喜んでいたのか、
それがわからないままの自分の辛さが
表現されているのではないでしょうか。
弟さんは特攻隊員に志願して、
特攻作戦を実行したそうです。
日本のために自分の命を犠牲にすることが、
弟の幸せで、それが喜びだったのか
ということを自問自答しているのかもしれません。
1番の歌詞はさらに深く重い
1番の歌詞では、
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのは嫌だ
という部分があります。
戦争によって短い生涯を終えてしまった弟さん。
何のために生まれて、
何をして生きたのかわからない
そんな人生は嫌だ
という嘆き悲しむ気持ちを
表現したのでしょう。
胸が締め付けられる歌詞ですね。
歌詞は途中で変わった?

【1番】
そうだ 嬉しいんだ
生きるよろこび
たとえ胸の傷が痛んでも
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
答えられないなんて
そんなの嫌だ
・胸の傷が痛んでも生きる喜びは嬉しい
・何のために生まれてきたのか
このような歌詞は、
大人の心には響きますが、
子どもには重すぎるでしょう。
そのためアニメでは、
1番はカットされ、
軽めな2番に変わったそうです。
【2番】
そうだ おそれないで
みんなのために
愛と勇気だけが友達さ
なにが君の幸せ
なにをして喜ぶ
わからないまま終わる
そんなのは嫌だ
2番のほうが希望を感じられる歌詞ですね。
ただし1番の歌詞が使われたこともあります。
・劇場版第1作目
・放送300回記念スペシャル
こちらの作品では、
例外的に1番から曲が始まっています。
東日本大震災の時には1番が流れた
2011年東日本大震災の時、
震災以降の始めてNHKラジオで流れた曲が
アンパンマンマーチだったそうです。
その後も繰り返しラジオで流れたのは、
テレビで聞きなれている2番ではなく
1番からだったといいます。
被災地でこの曲を聴いた子供たちは喜び、
大人は1番の歌詞を聴いて涙を流したそうです。
アンパンマンマーチの深いメッセージは、
1番に強く込められているのかもしれませんね。

まとめ
今回はアンパンマーチの歌詞に隠された
深い意味について調べてみました。
やなせたかしさんご自身の戦争体験や、
戦死した弟さんへの想いが
反映された歌詞であることがわかりました。
ご本人は否定されているようですが、
戦争の辛い体験が背景にあることは
間違いないでしょう。
このような意味を知りこの曲を聞くと、
とても心に響きますね。