ベトちゃんドクちゃんは、下半身がY字につながった
結合双生児としてベトナムで有名になった双子の男の子です。
原因はベトナム戦争時に米軍が大量に散布した枯葉剤の被害の可能性が高いそうです。
そんな双子の分離術の内容や臓器の選択はどのようになっていたのでしょうか。
ベトちゃんドクちゃんの分離術の内臓の行先や理由は?
1988年 分離手術施行

ベトナムで生まれた2人は、母親に病院に置き去りのような形で
医師や看護師に病院で育てられることになりました。
しかし度重なる兄のベトちゃんの命に関わる病に日本赤十字に医療の要請がかかりました。
2人の共通臓器はどうなっていたか

2人は下半身が繋がった形で生まれてきました。
腹部と生殖器、肛門部分がつながっており、2本の脚と1本の短い脚のみ。
そのため骨盤の中央部分から切り離し、
神経系統の分割を行うという前例のない高度な手術を行う必要がありました。
ベトちゃんの脳性麻痺は呼吸、心血管、体温調節、ホルモン分泌と神経反射などの機能は維持していました。
状態は安定しておらず、常に危険な状態と隣り合わせでした。
そのために、状態が悪かったベトちゃんが手術の選択やリスクを大きく左右します。
ドクちゃんへ主要臓器を渡すか否かの議論が繰り返される

2人は繋がった状態であっても、不思議なことに体調がずっと悪かった兄ベトちゃんと違い
弟のドクちゃんは元気いっぱいでした。
しかしベトさんが突然死するかもしれないというリスクは、常にドクさんの生命をも脅かしていました。
そのため、このような議論が繰り返し行われました。
- ドクさんを安全に助けるためベトさんを犠牲にするか
- 2人とも死亡してしまうかもしれないが2人とも助けるか
- ドクさんの生存を優先してベトさんにはできる限り手を尽くすことにするか
腎臓は2人で1つを共有していた場合ドクちゃんに・・・など議論があったようですが、
結果として腎臓は2つあったようです。
分離手術でベトさんの傷跡は60~80cmに及ぶため、
人工透析での腎臓補完は考えられないなど問題があったそうです。
ベトちゃん優先案で議論を繰り返す

共有している肛門、生殖器などについては多くの人はドクさんに全てを残し、
ベトさんには人工肛門を設けるという案を支持しました。
しかしながら、各器官の半分はベトさんのものでもあり、
ベトさんの神経によってコントロールされていました。
器官がベトさんから切り離すことで壊死しないのか?
またドクさんだけでコントロールすることができるのか?
様々な議論が取り交わされました。
肛門と生殖器はベトちゃん側に多く残し、足は1本ずつ分けた

2人をつないでいる肛門と生殖器をベトさん側に約2.5cm多く残して全て分離しました。
ベトちゃんには左足、ドクちゃんには右足がそれぞれ残されました。
そしてドクちゃんには日本から義足が提供されたのです。
術後兄のベトちゃんは寝たきりに

ベトさんは兄弟の分離手術をした後には、重度な脳障害の後遺症が残りました。
治療で大脳皮質を損傷し、外の世界を感じるための知覚を失ったことが原因で
食べ物が喉につまったり、無呼吸状態に陥ることが増えたようです。

