名探偵コナンの映画である黒鉄の魚影。
複数人出てきて大分複雑になっている黒の組織の行動は何だったのでしょう。
また謎めいたベルモットの行動と、注目されているフサエブランドについても解説します。
黒の組織の目的とベルモットの行動を考察します。
黒鉄の魚影のネタバレを含みますので、ご注意ください。
黒の組織の目的は?結局何がしたかった?行動の目的を考察
組織全体の当初の目的は世界中の監視カメラから、黒の組織のメンバーの痕跡を消すこと
まず「黒鉄の魚影」における組織の行動目的は、
劇中でベルモットの口よりはっきり述べられます。
「世界中の監視カメラから黒の組織のメンバーの痕跡を消す」ことです。
こちらはボスの命令です。
痕跡を消すため老若認証システムの責任者、
直美・アルジェントを拉致します。
そして父親マリオ・アルジェントを人質に取り、
システムを改ざんしてもらい最終的に監視カメラに写りこむ
黒の組織の過去の画像を全て消してもらおうとしました。
黒の組織内で分かれる老若認証システムと灰原への思惑
灰原をさらうことは当初の計画にはないことでした。
劇中でもベルモット、バーボン、キールはシェリーをさらうことを否定し、
ピンガも正体がバレたあと計画にないこと=シェリーの拉致が加わったことに文句ありげな様子でした。
バーボン・キールはそれぞれ公安・CIAのため、
潜入しているとはいえ無暗に人殺しは作中で確認出来る限りしません。
またバーボンはベルツリー急行で灰原を爆破しているはずのため、
灰原の生存はバーボンを脅かすものとなります。
他にもコナンとの信頼関係や初恋の人=灰原の母・エレーナのことなど様々な思惑があると推測できます。
様々な思惑の上、コナンに密告し黒の組織による灰原の拉致を失敗させようと暗躍します。
キールも灰原の盗聴器仕掛けを許し、
逆に盗聴器を利用し灰原の脱走を援助します。
しかしジンは殺害を試みる
「裏切者は罰せよ」の精神のもと、
どれだけ組織に貢献した人物や情報を持ってる人物だったとしても、
ミスを犯したり都合が悪くなるとピスコ、アイリッシュなどのように葬ってきました。
灰原も宮野明美の件でAPTX4869の開発を途中でやめたので組織の裏切者扱いです。
そしてジンを兄貴と慕うウォッカはそんなジンに従います。
ピンガも一応ジン、ウォッカと同様灰原をさらってジンに顔を拝ませる方向の動きをしますが、
正体がバレた際、灰原をさらうという計画外のことに憤りを感じていました。
ラムの思惑
ラムには別の思惑があったようです。
その思惑は「ボスの所在をつかむこと」。
ボスはナンバー2であるラムにも姿を見せないのです。
このことからラムはボスは生きていると思いつつ、
姿を変えていると読んでいます。
組織全体の最終目的
パシフィック・ブイの破壊によって痕跡を消すことです。
灰原をさらうことをジン・ウォッカが決めたあとベルモットはボスに連絡し、
老若認証システムの危険性を伝えます。
そこからベルモットはボスよりパシフィック・ブイ破壊の命を受け、
手始めに偽シェリーとして世界各地に趣き、
偽の宮野志保似の女性が老若認証にヒットさせます。
ベルモットのこの行動により拉致した少女がシェリーである可能性が低くなりました。
加えて老若認証システムの精度が低く使い物にはならないとジンが憤慨し、
監視カメラとして黒の組織の情報が映っているのも事実なので、
結果当初の目的である痕跡消しを強引なやり方で実行することになりました。
ベルモットの変装!なぜ灰原を守った?ボスとの関係は?
華麗な伏線回収!平和なシーンの年配女性はまさかのベルモット
冒頭の米花デパートのシーン、なんとベルモットが既に出ていたのです。
コナン、灰原、少年探偵団は米花デパートに行き、
コナンと少年探偵団は福引に並び灰原はフサエブランド限定ブローチの整理券に並びます。
灰原は整理券の最後の1枚を手にしますが、年配の女性に譲ってあげます。
この年配の女性こそがベルモットだったのです。
よく見れば劇中何度もアップになるベルモットの手にある
エメラルドグリーンのネイルを年配女性もしていました。
そして灰原が譲ったフサエブランドのブローチを腰につけたベルモットの、
「私が助けたわけ?それを探るのがあなたの仕事でしょ、シルバーブレット君」
という言葉で映画は終わります。
一見フサエブランドのブローチのお礼に見えますが、
そんな一筋縄ではいかないのです。
ベルモットが灰原を助けた理由3つ
アニメ第345話 「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」、
アニメ第701~704話「漆黒の特急」などでも分かる通り、
ベルモットはジン以上に灰原に対する殺意を持っています。
それではなぜ灰原を救ったのでしょう?
3つの理由を考えてみます。
1つ目:自分を守るため灰原を助けた
ベルモットは老若認証システムを「開けてはならない玉手箱」と称しています。
そしてボスにも老若認証システムの危険性を伝え、パシフィック・ブイ破壊に繋がります。
ここで一旦ベルモットの前提をお話しします。
ベルモットは組織のボスであるあの方のお気に入りなので、他の組織メンバーとはちがう動きがある程度許されています。
また親を20年前ベルモットに殺されたFBIのジョディ曰く、
20年前から見た目が年をとっていないらしいのです。
つまり偽灰原として老若認証システムの脆弱性を演出し、
パシフィック・ブイ破壊に導いたのは自分が年を取らない秘密を隠すためと考えられます。
また玉手箱と言っているのは、
海が舞台なので浦島太郎とかけており、
開いたら老けてしまうという意味合いも含まれていると考察できます。
助けた理由②コナンと蘭を守ることにつながるため灰原を助けた
監視カメラの中にコナンと映る灰原の姿がありました。
実際ピンガはコナン=工藤新一に辿り着いたように、
老若認証システムはコナンにとっても危険なものです。
そうなると蘭をはじめとした周りの人にも危害が加わりかねません。
しかしベルモットはコナンと蘭に危害が加わることは何としても避けたい事項なのです。
黒の組織に所属しているのになぜか。
それはアニメ287話「工藤新一NYの事件(後編)」で分かるように、
まだ新一がコナンになる前、
ベルモットは赤井秀一殺害のため通り魔に化けます。
蘭に偶然出会い殺そうとしますが足を滑らせ高所から落ちそうになったところ、
駆けつけた新一と蘭が殺されそうになったのに変装したベルモットを助けます。
このときの恩からベルモットはこう呼んでいます。
- 新一=コナンをシルバーブレット
- 蘭をエンジェル
このように呼びながら2人を幾度となく救ってきました。
上記の件からコナンや蘭に危害が加わることを避けるため、
二人の身近にいる灰原を助けたと考えられます。
助けた理由③ボスを守るため灰原を助けた
ボスを守ることで、コナンにヒントを与えたと捉えられます。
ベルモットは組織の中でもボスと密接に連絡が出来る数少ないメンバーです。
その理由をバーボンは知っているようであり、
アニメ第783話「緋色の真相」にてバーボンは
組織のメンバーが知ったら驚くでしょうねぇ…、まさかあなたがボスの…
と言いかけベルモットに銃を向けられます。
このことからベルモットはボスと何かしら深い関係があると噂され、
ファンの間ではボスの妻、娘、愛人、再婚相手など様々な説が出ています。
いずれも知られるとボスにとってもベルモットにとっても不都合な事実であることが、
普段冷静なベルモットが銃を向けることや、
ラムがボスが姿を変えていると予測していることから察せます。
またベルモットはコナンをシルバーブレットと呼ぶのには、
組織を破壊できる者という期待を込めています。
老若認証システムを破壊したのがどういう意味か分かる?
と、コナンに考えさせボスに辿り着けるようにリードするような雰囲気を感じ取ることが出来ますね。
なぜ「フサエブランド」がでたのか?黒の組織との関連は?
フサエブランドが直美の目的と合致していたから
黒の組織に拉致されたパシフィック・ブイの直美が老若認証システムを開発した理由は、
人種差別をなくすためと劇中で語られます。
開発キッカケとなったのは、直美がかつてアメリカで東洋人であることでイジメをうけていた経験です。
そして冒頭とエンディングに出てくるフサエブランドの創立者、
フサエ・キャンベル・木之下も同じような境遇にあった人間です。
アニメ第421話・第422話「イチョウ色の初恋」にてそのエピソードがあります。
フサエはハーフなので髪が金髪でした。
そのことをコンプレックスに思っていましたが、
同じ小学校に通う阿笠博士がイチョウ並木のイチョウの葉を一枚拾い
「ボクは好きだよ…、イチョウの葉っぱみたいできれいじゃないか!」
と頭髪を褒められたためコンプレックスから救われました。
つまり冒頭でフサエブランドが出たのは意図的で、
今作のテーマを示していたことが読み取れます。
実際直美もフサエブランドのものと思われる首飾りを身に着けていました。
重なる重要人物は博士とフサエ、そしてもう1組
直美(差別を受けていた側)と灰原(救った側)の関係として、
フサエと博士が当てはまる構図がフサエブランドを知っていたら理解できます。
しかしこの構図はもう1組あてはまります。
バーボン=降谷零と灰原の母、宮野エレーナです。
降谷とエレーナの関係はアニメ第952話〜第954話「迷宮カクテル」にて語られます。
降谷が髪色が周囲と違うことでいじめられていることを知ると、
人間なんて見た目は違っても、切り裂いて一皮剥けばみーんな同じ血と肉の塊…
と恐ろしい雰囲気でこう呟きます。
だがその後で、
『その証拠に黒人も白人も黄色人種もみーんなこの通り赤い血が流れてるでしょ?』と言ってやりなさい!
と強い口調で言います。
ちなみに降谷はエレーナに惚れ探すために警察になっています。
つまり直美と灰原、フサエと博士、降谷とエレーナの関係性が成り立ちます。
灰原が実母のエレーナと現在の親代わりである
博士と同じ優しさ・考え方を持つことにほっこりする場面です。
バイバイが伏線?
また灰原が水中ラブコメの場面でコナンにかけた「バイバイだね、江戸川コナン君」は、
エレーナが降谷にかけた「バイバイだね、零君」とも重なり予告に使用されていました。
直接的に降谷とエレーナの関係は劇中では出てこないものの、
灰原拉致にウォッカ・ピンガが動いたとき、
いち早くコナンにバーボンは連絡したりパシフィック・ブイ破壊が決まったときも連絡していました。
この三組の関係性が分かれば映画を見直したとき更に面白くなること間違いなしです。
浮かび上がるフサエと黒の組織の関係
なんとフサエには黒の組織関連人物なのでは?という疑いがかけられています。
その理由として前述の第421話・第422話「イチョウ色の初恋」にて、
フサエの母の再婚相手の友人であり、
フサエの付き人として運転手をしているビリーという人物がいます。
このビリーが単行本102巻「扉の先の真実」や
103巻「四角の秘密」に出てくる怪しげな人物と酷似しているのです。
「イチョウ色の初恋」では最後にビリーはバックミラーで阿笠達を見ながら
たぶん次に会うのは、そんなに時間はかからないんじゃないかな…
と意味深な事を言っています。
黒鉄の魚影で重要な役割を果たしたフサエブランドですが、
今後は直接フサエとビリーがコナンたちに関わり、
ベルモットの素性も明らかになってくるのかもしれません。
まとめ
今回の映画のストーリーとして重要なポイントは黒の組織は途中で目的を変えたこと、
灰原や老若認証システムへの思惑は別々だったことです。
映画のストーリーを理解する分には必要ないものの、
見返したときの面白さや原作とのつながりを意識するなら
ベルモット、宮野エレーナ、フサエ・キャンベル・木之下の
女性3人の出演回を抑えておくとよいでしょう。