天才脚本家と言われることもある古沢良太さん。
どんな作品の特徴があるのでしょうか。
伏線きっちり回収や逆転劇など
古沢良太作品の特徴に迫りたいと思います。
古沢良太の作品の特徴5つ
1つ目:伏線回収

古沢良太さんが手がける作品は、
前半に仕込まれた伏線が後半で見事に繋がっていく
という伏線回収が特徴です。
伏線とは、後の展開に備えて、あらかじめほのめかしておくこと。
その伏線を成立させることを伏線回収といいます。
前半にある何気ないシーンが
後半になると、次々と見事に繋がっていき、
予想外のオチへ向かうという
面白いストーリーが多いです。
・「コンフィデンスマン」
・「リーガルハイ」
・「キサラギ」
このあたりの作品は、
特に伏線回収が面白いとされています。
伏線回収が多用されている作品は珍しくありませんが、
張っておいた伏線が忘れられてしまい、
後付け設定のように思われる作品もあります。
古沢良太さんの作品はそのようなことが少ないです。
練りに練られたストーリーなので、
伏線がわかりやすく(でもわざとらしくなく)、
そしてきっちり伏線回収できるので、
万人受けする作品が多いのでしょう。
伏線回収は実は簡単?
BEST TiMESのインタビューにて
古沢良太さんはこんなことを語られていました。
伏線を張って回収する作業は、実は全然難しくなく、簡単です。
むしろ「ズルい手段だな」という気持ちもあります。
どういうことでしょうか。
続けてこのように話しています。
例えば急展開させたい時に、ふつうにその場面を書くと「急すぎない?」と思われてしまう。
でもそこから遡って伏線を入れておくと、納得して見てもらえる。
伏線がなくキャラクターの心境の変化を丁寧に描いていくことで急展開できるなら、
そっちのほうが凄いと思います。
おっしゃることはわかりますが、
それは古沢良太さんだから
感じられるだけでしょう。
「伏線が簡単」と思えるところが、
天才脚本家という感じがしますね。
わざと伏線にすることもある

古沢良太さんの伏線は、
後半に急展開させるために前半に伏線を張っておく
というケースが多いそうです。
しかし、
何となく書いたセリフが面白いから、
これを後半で生かしたいな
と思って伏線にするケースもあるそうです。
この伏線はどっちのケースかな?
と予想しながら観るのも面白いですね。
2つ目:逆転劇
古沢良太さんが手がける作品の魅力は、
あっと驚く逆転劇でしょう。
・「キサラギ」
・「相棒」
・「リーガルハイ」
・「コンフィデンスマン」
・「レジェンド&バタフライ」
このあたりの作品は
特に最後の逆転劇に面白さが凝縮されています。
ストーリー序盤、もしくはシリーズ序盤から
ジワジワと積み重なり、
終盤でスピード感のある驚きの展開が待っている
というのが古沢良太作品の特徴のひとつと言えます。
裏切らないラスト

古沢良太さんのストーリーは
前半は「?」なことが多く先が読めない展開が多いです。
しかも、ひとつの「?」が解決すると、
また次の「?」が出てくるという難解な展開もります。
しかし、
最後は痺れるようなどんでん返しが待っている
という期待を裏切らないところが素晴らしいです。
最後のオチまで見事なストーリー
謳い文句通りの面白さ!
古沢良太の脚本はハズレがない
ネット上にはこのような声が多く見られます。
古沢良太さんが手がける作品は
また次が観たくなる
という中毒性がありますね。
3つ目:キャラクター性が強い
古沢良太さんの脚本の特徴は、
ストーリーの良さだけでなく、
キャラクター性が強いところも特徴です。
個性が強いということですね。
個性的なキャラクターたちによる物語なので、
どんどん引き込まれていきます。
例えば大河ドラマ「どうする家康」では徳川家康、
映画「レジェンド&バラフライ」は織田信長が描かれていますが
それぞれ意外性と個性があるキャラとして描かれています。
・徳川家康は戦から逃げようとする弱虫だった(「どうする家康」)
・織田信長は妻に武術も戦術も負けていた軟弱キャラだった(「レジェンド&バタフライ)」
家康も信長も何度も描かれてきたキャラクターなので
新鮮味がなくつまらないキャラになりがちです。
しかし古沢良太さんの脚本では
このように新たな家康・信長のキャラが確立されているので、
飽きることなく引き付けられるのでしょう。

70代のアニメから影響を受けている?
古沢良太さんはもともと漫画家志望だったこともあり、
70代のアニメから影響を受けているそうです。
「OTOCOTO」のインタビューでは、
こんなことを話されていました。
「機動戦士ガンダム」は影響を受けた作品のひとつ
キャラクター設定に影響を受けていて、男同士の話はアムロとシャアの関係性になってしまう。
女性はセイラみたいなお姫様っぽくなってしまいます。
また「コンフィデンスマンJP」は
「ルパン三世」から大いに影響を受けていると語っていました。
古沢良太さんが手がける作品の
濃いめのキャラクターの原点は
70年代アニメにあったのですね。
4つ目:ジャンルが多彩

古沢良太さんが手がける作品は、
・人間ドラマ
・サスペンス
・コメディ
・歴史もの
などとにかく多彩です。
これも古沢良太作品の特徴のひとつと言えます。
しかしはじめから
どんなジャンルでもこなせていたわけではありませんでした。
こだわりの無さがヒットの秘訣?

28歳で「テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞」を受賞して
脚本家デビューした古沢良太さんですが、
すぐに売れっ子脚本家になったわけではありませんでした。
すぐに連続ドラマチームに参加することになるも、
どう書いて良いかわからずに苦労されたといいます。
一度はチームを降りてしまいますが、
再度チームに加わることに。
そこでベテラン脚本家の脚本を読み、
こうすれば良かったのか
とわかり、順調に書けるようになったそうです。
またはじめは「書いたことがないサスペンス」は断っていたのですが、
多くサスペンス作品を観て、
その後サスペンスジャンルにも挑戦することになったといいます。
「マイナビ転職」のインタビューでは、
自分らしいものにとらわれず、その時興味のあることや提示された作品に挑む。
そうすると、反省も生まれて次の作品に生かせる。
そして、少しずつ技術が身に付き、手が届かないと思っていたものも書けるようになった。
このような内容を語っていました。
独特の世界観のある古沢作品ですが、
その原点は「こだわりに無さ」というのは
驚きですね。
5つ目:絶妙なコメディ色
古沢良太さんが手がける作品は
コメディ要素が盛り込まれているところが
特徴のひとつ。
・「リーガル・ハイ」
・「デート〜恋とはどんなものかしら〜」
・「コンフィデンスマン」
このような代表作は
いずれもコメディ色が強いです。
しかしただ笑いがあるだけでなく、
絶妙なコメディ色であるところが魅力です。
コメディだけじゃない描写が魅力

古沢良太さんが手がける作品のキャラクターは
デフォルメされた漫画のキャラのような
傾向にあります。
そのためコミカルなシーンが多々出てきて、
軽いノリなの?と思わせることが多いです。
しかし、
クライマックスに向けて
人間らしさがどんどん溢れてきます。
そのためラストで
強い衝撃や大きな感動があるのです。
「レジェンド&バタフライ」も古沢らしさ炸裂
例えば「レジェンド&バタフライ」で
木村拓哉さんが演じた織田信長。
前半は
・服装や髪型にこだわるナルシスト
・妻に武術で負ける情けなさ
などが大袈裟にコミカルに描かれます。
しか後半は一気に、
天下統一に苦悩する魔王・信長にシフトチェンジ。
そこにはもうコミカルさはなく、
ラストに向けて魔王の心揺さぶられる展開が繰り広げられました。
これこそ古沢良太ワールドと言えるでしょう。




まとめ
「どうする家康」「レジェンド&バタフライ」など
多くの話題作を手がける古沢良太さん。
伏線回収や逆転劇、
キャラクター性の強さなどの
特徴があることがわかりました。
このような特徴を踏まえて鑑賞すると、
また違った面白さが発見できるかもしれませんね。