今からやく20年前に福岡県久留米市において、
看護師4名による保険金殺人事件が行われました。
医療技術があるからこその看護師の犯行ということで、
闇に埋もれがちな事件かのように見えましたが、この事件は実は根深く恐ろしい事件だったのです。
【時系列】久留米の看護師連続保険金殺人事件まとめ!
- 吉田純子(45=一審判決時、以下同)に死刑(16年3月に執行)看護師
- 堤美由紀(44 無期懲役(求刑死刑)治験コーディネーター
- 池上和子(死亡時43)看護師
- 石井ヒト美(46 懲役17年(求刑無期懲役)の判決)看護師
時系列で事件発生から逮捕までのまとめ
- 当時の吉田純子の借金は贅沢な暮らしで3000万ほどあったと言われる
- 堤美由紀が不倫相手と別れられないことを吉田純子に相談する
- 「先生が解決してくれた」と吉田純子は話し不倫相手は2度と現れなくなった
- 石井ヒト美と池上和子とも再会
- 「堤美由紀の不倫相手が復縁を迫っている」と脅した
- 吉田純子の元夫がマンションを出ると堤美由紀に肉体関係を迫った
- 堤美由紀が自宅を出ようとすると「先生」の存在をちらつかせ自宅にいるよう指示した
- 眠りから覚めたら、巻き込まれ事故の後処理と偽りお金をとりあげる
- 新たにクレジットカードも作らせる
- 石井ヒト美に探偵事務所の人間を名乗らせて、堤ミサエさん宅を訪ねさせる
- 外に逃げ出し大声で助けを求め脱出に成功
- 過去に自分の旦那の不祥事によって複数の家族から慰謝料を請求されている
- その借金を吉田純子が肩代わりし、その金の返済を求められているといった説明
- 夫であった久門剛(当時44歳)を、吉田純子らと共に殺害し、保険金を騙し取ったことを供述
- 池上和子は死刑が求刑されていたが、判決前に子宮癌で病死
- 死亡時の年齢は43歳
- 第二次世界大戦後5人目の女性死刑囚となる(福岡拘置所)
- 死刑執行前には暴れたという説も
1件目の殺人事件:平田栄治(池上和子の夫)

池上和子さんの夫である平田英栄治さんは、
吉田純子さんのことをよく思っていないことや、池上和子さんが吉田純子さんに
金銭を与えるのを邪魔しようとするなど吉田純子さんにとっては邪魔な存在でした。
また、石井ヒト美さんに対して嫉妬や負の感情を元から抱いていた吉田純子さん。
そこで吉田純子さんは池上和子さんに
お前(池上和子)の夫はお前と子供を殺そうとしている
と嘘をついて信じ込ませ、夫の殺人を決意させました。
当初、心不全を誘発させるために睡眠薬とカリウム製剤を投与して殺害する計画が練られました。
しかしこの計画は他殺であることがバレる可能性があるとして中止されました。
1998年1月23日の深夜、お酒を飲んだ状態で帰宅した平田栄治さん。
その上さらに池上和子さんは睡眠薬入りのビールを飲ませます。
平田さんが眠ってしまうと吉田純子さん・堤美由紀さん・石井ヒト美さんを自宅に招き入れます。
そして眠っている間にの午前2時ごろ、静脈に空気を注射したのです。

吉田純子さんたちは心筋梗塞に見せかけて殺害しました。
翌朝、平田さんは救急搬送され
寝ていたら冷たくなっていた
と説明します。
頭部CTでは血管内に空気が入っている所見が見られたため、不審死として警察に届けました。
しかし、平田さんは司法解剖されずに病死として扱われました。
平田栄治さんが亡くなった後は平田さんの両親が相次いで他界しており、
遺産や遺族年金含めた1000万円も親族を言いくるめて吉田純子さんが得ました。
2件目の殺人事件:久門剛(石井ヒト美の夫)

吉田純子さんは石井ヒト美さんに次のような嘘をつきます。
- 実は久門剛さんが浮気相手との交際費を稼ごうとしている
- 結果として多くの人々から金を騙し取っておりその結果自殺者まで出ている
- その遺族や被害者家族から慰謝料を請求されているが自分が間に立って交渉している。
- こうなっては夫を殺害しその保険金で遺族に賠償するしかない
と嘘をついて、石井ヒト美さんに夫の殺害を決意させました。
久門さんは急性アルコール中毒で亡くなったということにしようということになりました。
石井ヒト美さんと久門剛さんは当時、別居していました。
1999年3月27日に石井ヒト美さんは
子どものことで話がある
と久門さんを呼び出し、
睡眠薬入りのカレーライスを食べさせました。
医療用チューブを久門さんの鼻から胃まで挿入し、ウイスキー1.5本分を流し込みました。
チューブを胃に挿入はこのような感じですね。

このように胃に直接ウイスキーを流し込んで無理やり飲酒状態を作り出しました。
最後に静脈に空気を注射しました。
それから、石井ヒト美さんは
夫が酒を飲みすぎて倒れた
と119番通報し病院に搬送されました。
死亡後に119番通報すると救急隊から警察に連絡が行ってしまうので、
病院で死亡するように呼吸状態が弱い状態で119番通報し、
病院で死亡確認をさせました。
池上和子の夫を殺害した時は医師に疑われてしまったので、
今回は疑われる要素をできるだけ減らして完全犯罪を成し遂げました。
3人目:石井ヒト美の母親(未遂)

2件の殺人事件が警察にバレずに済んだ4人。
多額の保険金を手に入れた吉田純子さんは、さらに金が欲しくなります。
次に目を付けたのは、堤美由紀さんの母親でした。
堤美由紀さん自身の吉田純子さんが行っており、母親の預金も把握しており
その預金も欲しくなったようです。
この殺人は、堤美由紀さんは拒否するリスクがあったため
石井ヒト美さんが実行するように命じられました。

2000年5月12日、堤美由紀さんの母親は探偵を名乗る石井ヒト美さんに襲われて、
インスリンを注射されそうになりました。
しかし、襲われた母親は大声で騒いだため、犯行を行うことができませんでした。
犯人発覚を恐れた石井ヒト美さんは逃げ出し車で待っていた池上和子さんへ報告します。
その後吉田純子さんの指示でその場を離れました。
母親は無事であり、この殺人計画は未遂に終わりました。
石井ヒト美に犯罪の失敗を理由に金銭を要求

犯行の発覚を恐れた吉田純子さんは事情を知らない堤美由紀さんへ母親に警察へ連絡するよう伝えました。
警察による現場検証が行われている堤美由紀さんの母親の元に急行すると、
元々糖尿だった母親の低血糖症状であることを見抜いたのです。
低血糖症による昏睡状態に陥っていましたが
堤さんがバナナを与えるなどの応急処置をし命を取り留めました。
2つの事件後4人は同じマンションに引っ越す

友人たちを騙し利用し、殺人まで手がけて得た金で、吉田は新しいマンションに移ったのです。
吉田純子さん自身はマンションの最上階に住み、
他の3人にはそれよりもっと下の階の別々の部屋に住まわせました。
このころから吉田はこれまで都合よく利用していた “先生” の代役に昇格したとして、
3人に自分のことを吉田様と呼ばせるようになったのです。
- 身の回りの家事
- 子供の世話
- 吉田純子さんの父親の介護
このようにすべてのことを3人にさせるようになりました。
事件の主犯・吉田純子のワナ
吉田純子は幼い頃から嘘をつくのが上手だった

吉田純子は子どもの頃から嘘をつく癖がありました。
不思議なのは、吉田純子さんの嘘は嘘を嘘と思われないという能力があったのです。
高校生の頃は妊娠したと嘘をつき同級生からカンパを募りました。
高校卒業後は大阪で准看護師として勤務し、正看護師の資格を取るために久留米市の専門学校に通います。
後に共犯となる専門学校の同級生である堤美由紀さんと同じ病院で働き始めます。
堤美由紀の悩みを利用

堤美由紀さんは当時別れたかったスナックのマスターである既婚者男性がいたのですが、
なかなか男性はしつこく別れられず吉田純子さんに相談をしていました。
すると、吉田純子さんは
私が話をつけてあげる
というと、これ以降男性は堤美由紀さんの前に現れることはなかったのです。
そういう経緯があり、吉田純子さんの手足となり堤美由紀さんは犯罪を犯しながらも
自分のお金も渡していたのです。
吉田純子が受け取った金額は億を超える

一連の事件を通して吉田純子さんは下記のようにお金を奪っていきました。
総額は億を超える、合計で1億5127万円です。
・堤美由紀から20万円(架空のトラブル解決のお礼)
・美由紀の母親から550万円(美由紀が交通事故を起こしたと嘘)
・石井ヒト美から750万円(夫の金銭トラブルをでっち上げた)
・池上和子から2800万円(看護師時代にいじめた相手からの損害賠償が来たと嘘)
・同僚看護師から1000万円(軽度な医療ミスにつけこんだ)
・保険金から3500万円(池上和子の夫)
・保険金から3257万円(石井ヒト美の夫)
・香典として230万円(池上和子の夫の葬儀)
・退職金3000万円(池上和子の夫の退職金)
吉田純子による拘置所内での偽証要求

吉田純子さんは配膳担当の受刑者(本事件とは無関係)を通じて、
勾留中の拘置所内の配膳の際に、
吉田純子さん側に有利となる偽証を求める手紙を堤さんに送りました。
- 自分が保釈や無罪を勝ち取るために協力してほしい
- 「岡部」と名乗る男(架空の人物)らから脅迫されていた
- 騙されて生命保険金を渡した可能性があると弁護士への手紙や裁判で偽証するよう
これに対して堤美由紀さんは
ここに来てまで馬鹿にするな!
一番悪い人間(吉田純子)が何故苦しまない
と書き送って相手にしませんでした。
ちなみにこの手紙の存在は裁判でも暴露されており、吉田純子さんへの心証を悪くする一方でした。
まとめ
福岡の久留米市で起きた看護師による殺人事件の事件まとめでした。
主犯である吉田純子さんの洗脳で他の3名の看護師が手足となり2人の人物を殺害しました。
今後このような事件が起きないことを祈ります。