テレビ放送されるたびに高視聴率を記録している
「ルパン三世カリオストロの城」。
本作がもっと面白くなる
豆知識をまとめてみました。
ネタバレを含みますので、本編ご鑑賞後に記事をご覧ください。
「ルパン三世カリオストロの城」豆知識10
1つ目:短期間、低予算で作られた
「ルパン三世カリオストロの城」は、
製作期間4ヶ月半という短期間で作られました。
映画の製作期間は1年が一般的と言われていますが、
宮崎監督の大作は製作期間が長いことで有名です。
・「もののけ姫」:構想16年、制作3年
・「風立ちぬ」:制作5年
このような作品は長期間かけて作られたとされています。
製作期間4ヶ月半がいかに短いかわかりますね。
宮崎監督は後に、
カリオストロではじめて体力の限界を知った
締め切りに間に合わせるために妥協した部分もあった
などと話されています。
もっと時間があれば…
という悔しい思いがあったそうです。
制作費も少なかった

本作は短期間で仕上げただけでなく、
5億円という低予算で作った作品でもあります。
宮崎監督作品の制作費と比べてみると、
「千と千尋の神隠し」:20億円
「風立ちぬ」製作費:50億円
このようにかなり違いますね。
今より物価の安かった時代とは言え、
5億円の制作費は低いと言えるでしょう。
短期間、低予算で作られたにもかかわらず、
名作として愛され続けている本作。
宮崎監督はデビュー作にして
その能力の高さを見せつけていますね。
2つ目:公開当時はあまり人気がなかった

宮崎駿監督の初の長編作品となった本作。
公開から40年以上経っても愛され続けている名作ですが、
公開当時はあまり人気ありませんでした。
配給収入は6億1千万円。
宮崎監督作品とは思えない数字です。
ジブリ作品の興行収入トップ3はこちら。
「千と千尋の神隠し」304億円
「ハウルの動く城」196億円
「もののけ姫」193億円
これらの作品と比較すると、
残念ながら人気がなかったことが伺えますね。
・当時はSFアニメのほうが人気だった
・アニメ版のルパンと作風を変えたことが不評だった
本作の不人気の理由は、
このような要因だったと言われています。
3つ目:テレビ放送では高視聴率を記録

https://www.cinematoday.jp/news/N0119980
公開当時は不振だった本作ですが、
その後テレビで何度も放送されるうちに、
人気を博すようになりました。
初放送は1980年12月17日の「水曜ロードショー」。
2023年5月5日の「金曜ロードショー」の放送で
なんと18回目になります。
1999年2月26日の「金曜ロードショー」で放送された時は、
視聴率23.4%という高視聴率でした。
これまで6回も視聴率20%超えを記録しています。
宮崎監督ならではの躍動感あふれるアクションシーンや
魅力的なキャラクターは、
世代を超えて愛され続けているのですね。
4つ目:時代に合わせたルパン像に変えた

https://www.cinematoday.jp/news/N0097730
「ルパン三世カリオストロの城 アニメコレクション」の中で、
宮崎駿監督は、
劇場版ルパンをオファーされた時、
60~70年代に生きてたルパンというキャラクターは
今さら出てくるのには古すぎると思った
と語っています。
そして、
時代に合わせたルパン像を作らなければならなくなった時、
原作のハードボイルなルパンではなく、
コミカルで陽気なルパンに変えたそうです。
奴はとんでもないものを盗んでいきました。
あなたの心です。
という銭形警部のとてもセリフは有名です。
しかし宮崎監督は「あれから4年…クラリス回想」の中で
現実の世界に取り残されたルパンに、いったい何ができるのだろう。
せいぜい少女の心を盗むくらいしか残されていない。
とネガティブな発言をされています。
監督自身、
新たなルパン像に違和感を持っていたのかもしれませんね。
公開当時は、
ルパンらしくない
という批判の声も多かったそうです。
5つ目:クラリスは不二子と被らないキャラ設定にした

https://tmbi-joho.com/2020/11/18/cagliostroguns/
クラリスはもともと活発な女の子の設定だったそうです。
同じく活発キャラな不二子を出すとクラリスが負けてしまうため、
不二子は出さないつもりだった言います。
ところが制作会社側から
5分でもいいから不二子を出してほしい
と言われたそうです。
ルパン三世の超人気キャラの不二子を出さないことは
制作会社的には言語道断だったのでしょう。
クラリスを大人しいキャラにした

https://www.cinematoday.jp/news/N0097730
そこで宮崎監督は、
クラリスを大人しいお嬢様キャラにしたそうです。
宮崎監督作品のヒロインは
みんな活発で行動的ですよね。
クラリスだけが大人しい理由は、
峰不二子の影響だったのですね。
6つ目:監督自身クラリスのラストに悩んだ

ルパンを追いたいと思いながらも
カリオストロ公国に残るしかなかったクラリス。
このラストには
宮崎監督自身悩んだそうです。
共同脚本の山崎晴哉氏も
「LUPIN THE THIRD VOL.2」の中で
あの場合、仕方がないんだけれど、
あそこで「さよなら」って言って別れますよね。
あそこで、何でとどまっているんだろうね、クラリスは
と語っています。
お二人とも、
クラリスにルパンを追わせてあげたかった…
という後悔があったようですね。
7つ目:クラリスはナウシカに繋がっている
「カリオストロの城」から2年後、
宮崎駿監督がたまたま調べていた「ギリシア神話小辞典」の中で、
ある物語を見つけたといいます。
それは、
海岸に血まみれの男が打ちあげられ、
みんなが逃げまどう中、
王女だけが恐れずに彼を助けて介抱した。
という物語。
傷ついた旅人ルパンを介抱した
クラリスと同じようなお話ですよね。
この王女に惹かれたという宮崎監督。
この王女はナウシカという名前でした。
カリオストロ公国を出る勇気がなかったクラリスに対し、
行動力があり自立した強い姫君であるナウシカ。
クラリスが成しえなかったことを託したキャラクターが
ナウシカだったのかもしれませんね。
8つ目:カリオストロ伯爵にはモデルがいた

Wikipediaより
本作に欠かせない悪役カリオストロ伯爵には
実はモデルがいたそうです。
アレッサンドロ・ディ・カリオストロという
18世紀に実在した人物で、
・医師
・錬金術師
・山師
・愉快犯
このような複数の肩書きを持った
謎の人物だったといいます。
・低い身分出身ながら上流階級に潜り込むことに長けていた
・美しい妻と一緒にヨーロッパ中を巡り
富裕層に予言や魔術を巧みに使っては胡散臭い商売をしていた
・富裕層から奪ったお金を貧民に分け与えることもあった
・フランスで起きた詐欺事件「首飾り事件」に関わったことで失脚
・最終的には異端の嫌疑をかけられ終身刑を言い渡され、52歳の時に獄中で亡くなる
このような興味深い人物です。
見た目もなんとなくカリオストロ伯爵に似ていますね。
9つ目:過去の宮崎監督作品と似ているシーンがある
本作は宮崎監督が関わった作品、
・未来少年コナン
・長靴をはいた猫
に似たシーンがいくつかあります。
ルパンと次元が一緒に走るコミカルなシーンは、
コナンとジムシーコンビの走りとそっくりですね。
ちなみに、
物語終盤の1シーンに
未来少年コナンが登場しているのは
有名な話です。
ルパンがお城の屋根から大ジャンプするシーンは
「長靴をはいた猫」のシーンにそっくり。
実は宮崎監督は自らこのようなコメントをしています。
「カリオストロの城「に関しては東映動画時代の”大棚ざらえ”なんですよ。
新しく付け加えたものなんて何もない。
大棚ざらえとは、
在庫整理のために残っている品の安売りをすることです。
監督自らこのような自虐的なコメントをするとはすごいですね。
また、
作画監督の大塚康生さんは
「長靴をはいた猫」に似たシーンがある理由について、
制作スケジュールが厳しくて、
新しいことを考えている余裕が全くなかったから
と答えています。
時間がなくて、
仕方なく過去作品のシーンを模したということなのですね。
しかし、
宮崎監督作品ファンにとっては
嬉しいサプライズシーンですよね。
10つ目:モンキー・パンチも良い作品と評価
原作のシニカルなルパンと違い
陽気でコミカルなルパンが描かれた本作。
原作ファンから批判の声もありましたが、
原作者のモンキー・パンチさんは好意的な意見を述べていました。
これは僕のルパンじゃない、僕には描けない、優しさに包まれた、
宮崎くんの作品としてとてもいい作品だ
しかしこのコメントの
「これは僕のルパンじゃない」だけが切り取られ
批判したように報じられたこともあったそうです。




まとめ
今回は「ルパン三世カリオストロの城」の
豆知識をまとめてみました。
制作秘話やジブリ作品との繋がりなど
興味深いネタが多々あることがわかりました。
このような豆知識を知っておくと、
本編がもっと楽しくなりますね。