「すずめの戸締まり」の感想として
わからないという意見が見受けられます。
本作は複数のストーリーが盛り込まれていることもあり、
ややわかりにくい部分が多かったようです。
今回は「すずめの戸締まり」が、
わからないと言われる理由を調べてみました。
ネタバレを含みますので、観覧後にご覧ください
「すずめの戸締まり」がわからないと言われる7つの理由
その1:鈴芽が草太を好きになったのはどうしてか

出会ったばかりの草太に惹かれた理由は何?
あれほど草太を好きになった鈴芽の気持ちがわからなかった
このように、
鈴芽が草太を好きになった理由がわからないという意見が目立ちました。
ある朝、登校途中で偶然見かけた草太に心を奪われてしまう鈴芽。
一瞬にして恋に落ちたような鈴芽の心境は確かにわかりにくかったですね。
さらに、
人間の椅子の恋って不自然
という意見もありました。
かっこいいビジュアルの草太に惹かれるのはわかるけれど、
椅子の姿になった草太に対しても好きであり続けた鈴芽の心境は、
ちょっと理解しがたいものでした。
鈴芽は無意識に草太に惹かれていた

実は鈴芽が草太に惹かれた理由のヒントはありました。
それは、鈴芽が草太に感じた「どこかで会ったことがある」という妙な気持ちです。
鈴芽は実は4歳の時に草太に会ったことがありました。
東日本大震災で行方不明になった母親を探しに、
閉じ戸を通って常世に迷い込んでしまった鈴芽。
そこで17歳になった鈴芽と草太に会っていたのです。
幼い頃の記憶だったため、
17歳になった鈴芽は忘れてしまっているのですが、
無意識のうちにずっと草太の存在が心の中にあったのかもしれません。
しかし、詳しい描写がなかったために、
わからないと感じた方が多かったようです。
その2:どうして鈴芽は昔の自分に会えたのか

どうして鈴芽は昔の自分に会えたのかわからない
という疑問を持った方もいたようです。
後ろ戸の中にある世界は常世と呼ばれる死者の世界とされています。
しかし、この扉は現世と来世を繋ぐものであり、
タイムマシンのようなものではないはずです。
どうして鈴芽は過去の自分に会いに行くことができたのでしょうか。
常世はすべての時間が混在している

常世は死者の世界であると同時に、
すべての時間が同時に存在する世界でもあります。
現在の時間も13年前の時間も同じ場所にあるため、
鈴芽は13前の自分に会うことができたのです。
このシーンでの空は、
太陽と星空がある異様なものでした。
これは、昼と夜のどちらも同時にあることを描いていたのですね。
その3:どうして鈴芽にはミミズが見えたのか

本作では、
地震が起きる原因は巨大なミミズにが原因であるとされています。
死者の世界である常世から、
閉じ戸を通ってミミズが現世に出てきてしまうと、
大地震が起きてしまう。
だからその扉を閉めるのが閉じ師の仕事なのです。
映画の中は何度かミミズが現世に出てきてしまうシーンがありました。
ここで不思議なのが、
ふつうの人にはミミズの姿は見えないのに鈴芽には見えていることです。
どうして鈴芽にだけミミズが見えるの?
鈴芽は閉じ師じゃないのにどうしてミミズが見える?
という疑問をもった方が多かったようです。
常世に行ったことがある人はミミズが見える

鈴芽だけミミズが見える理由は、
4歳の時に母親を探し回るなかで、
偶然後ろ戸を通って常世の世界に迷い込んだからです。
ミミズが見えるのは、
・閉じ師
・常世に行ったことがある者
という説明がありました。
このような理由から、
閉じ師ではない鈴芽にもミミズが見えたのですね。
その4:ダイジンの行動

ダイジンの目的がわからない
ダイジンが逃げる理由がわからない
このようにダイジンの行動がわからないという意見も目立ちました。
ダイジンは地震を食い止めるために閉じ戸のそばに刺さっていた「要石」でした。
常世にいる巨大なミミズの力を弱めるためには、
頭と尻尾の2箇所を要石でおさえておく必要があります。
・東の要石がダイジン
・西の要石がサダイジン
となっていました。
しかし鈴芽が偶然要石(ダイジン)を抜いたことで封印が解け、
ダイジンは白猫の姿となり自由に動き回れるようになったのです。
ダイジンの行動はミミズを止めるためだった

「うしろどはまたひらくよ」
と言って鈴芽から逃げ回るダイジン。
鈴芽はダイジンがいたずらに後を戸を開いて回っていると思っていました。
しかし、これはまったくの逆でした。
ダイジンは次にどの閉じ戸が開くのかわかっていて、
鈴芽にその扉を閉めてもらうために、
各地の閉じ戸に鈴芽を誘導していたのです。
ダイジンは神を宿した存在だった

どうしてダイジンは次にどの閉じ戸が開くのかわかったのでしょうか。
それはダイジンが神様のような存在だからです。
草太の祖父である羊朗は、

要石は時間をかけて神を宿していく
と説明しています。
ダイジンはもとは人間だったのでしょう。
しかし長年要石になっていたことで
神様のような存在になっていたのでしょう。
だから閉じ戸が開く場所がわかったのだと推測できます。
その5:なぜ人がいなくなった場所で後ろ戸が開くのか

なぜ人がいなくなった場所で後ろ戸が開くのかわからない
という意見も見られました。
後ろ戸とは本作オリジナルのものではなく、
古典能楽における概念でもあります。
死者の世界である常世と現世の間に存在する扉です。
この後ろ戸は人がいなくなった廃墟で開くとされています。
人の心が離れる後ろ戸が開きやすくなる

閉じ師である草太は、
人の心の重さがその土地を鎮めている
と話していました。
つまり人の心が軽くなり離れた状態になると、
土地は鎮められない状態になり、
後ろ戸が開き、ミミズが出やすくなるのでしょう。
人が住まなくなり廃墟となった場所は人々の心が離れてしまっているため、
閉じ戸が開くというわけですね。
閉じ師は神様に土地をお返ししている

草太は後ろ戸に鍵をかける時に

お返し申す
と言います。
土地の神様に土地をお返しする儀式を行っているのです。
建物を建てる時に地鎮祭を行い、
土地の神様に土地を使う許可を得ています。
しかしその土地を使わなくなった時には、
特に儀式が行われることはありません。
そのため閉じ師は
土地の神様に土地を返す儀式を行い、
土地の神様の怒りを鎮めようとしているのでしょう。
その6:ミミズの正体

結局ミミズって何なの?
ミミズの正体がわからない
といった感想も多く見られました。
本作では後ろ戸が開いてしまうと、
常世にいた巨大なミミズが現実世界に出現してしまいます。
空高く上っていくミミズが地面に倒れると、
その衝撃が地震になるという設定です。
正体不明の不気味さ

このミミズについては、
・日本列島の下をうごめく巨大な
・目的も意志もない
・歪が溜まれば吹き出し、ただ暴れ土地を揺るがす
このように説明されています。
つまり巨大な力を持つにもかかわらず、
いつ暴れ出すかわからないということですね。
この正体不明の不気味さが
ミミズの重要な要素です。
ミミズについては「正体わからない存在」
と解釈して観たほうが良いのでしょう。
その7:鈴芽の父親は生きているのか

最後にご紹介する「わからない」ポイントは、
鈴芽の父親に関することです。
鈴芽の父親がわからない
鈴芽の父親はダイジン?
などの声が見られました。
本作では鈴芽と母親との関係はじっくり描かれますが、
父親についてはまったく説明がありません。
これに違和感を覚えた方は多かったようです。
鈴芽が女性と関わり成長する物語だった

本作は鈴芽がさまざまな女性と関わりながら成長する物語です。
・母親
・叔母の環
・スナックのママ・二ノ宮ルミ
・民宿の娘・同い年の海部千果
新海誠監督はこのような描き方について、
「魔女の宅急便」に影響を受けているとしています。
「魔女の宅急便」のキキは、
さまざまな年代の女性に出会い成長していきました。
鈴芽の物語も、
そのような女性たちとの関わりに焦点をあてたかったのでしょう。
そのために敢えて父親の存在は明かさなかったのかもしれません。












まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「すずめの戸締まり」のわからないと言われる理由をまとめました。
本作は一度観ただけでは理解しにくい部分が多いです。
しかしそれだけたくさんの要素が詰まっている見ごたえのある作品であるとも言えます。
わからない部分を確認するために、
もう一度鑑賞してみるのも良いですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。